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中日金融ADR制度シンポジウム (2011/04/29 9:00-12:00 北京)
【趣旨説明】 2011年4月29日に、中国証券監督管理委員会(CSRC)の要請により、早稲田大学GCOEとCSRCの共催で、中国CSRC本部の会議室にて「中日金融ADR(*1)制度シンポジウム」が開かれた。尚、2008年11月に行われた早稲田GCOE主催の北京金融会議において、犬飼教授より、近い将来、金融ADR制度の創設が政策課題となるであろうことが指摘されていた。 http://www.globalcoe-waseda-law-commerce.org/activity/report26.html 中国のCSRCでは、数年前から金融ADR制度について関心をもち、金融ADR研究チームを構成していた。メンバーはCSRCの法規部、最高人民法院、証券業協会、学者等により構成されている。日本、イギリス、ドイツ等各国の金融ADR制度について研究し、中国におけるその立法化に向けて具体的な研究を行っていたが、直近の日本の制度が、中国にとって最も参考になるのではないかとの認識が研究チームの間で共有されていたようであった。 日本では、今回のシンポジウムに参加した簗瀬弁護士と犬飼教授他が中心となって2007年に立ち上げた金融ADR・オンブズマン研究会及び早稲田大学COEが協力し、欧州等の金融ADR制度について研究を重ね、2008年11月には研究会提言(*2)を公表していたが、それらが金融庁により十分参照された上で、自国の状況に合わせ、2009年、金融庁はいわゆる金融ADR法を施行した。 そこで、今回のシンポジウムでは、日本側が、上記提言の中心的な提案者二名に加えて、金融庁の金融ADR法立法及び金融ADR制度推進担当者にも北京に同行願い、金融ADR制度導入の背景、具体的な実施状況、今後の課題などについて紹介したものである。 中国側よりは、これまでの研究内容に基づいて、日本側に対して様々な角度からの質問が発せられ、極めて熱のこもったディスカッションが行われた。 尚、早稲田大学GCOEの上村達男教授を団長とする日本側代表団のメンバーとしては、金融ADR制度創設のための提言を行った犬飼重仁教授、長嶋・大野・常松法律事務所の簗瀬捨治弁護士、ADR法及び同実務担当者として金融庁総務企画局の出原正弘氏、早稲田大学法学学術院助手の韓敬新氏、通訳として中国政法大学の陳景善準教授(早稲田GCOE特別研究員)、西南政法大学の熊潔先生(早稲田GCOE特別研究員)が出席した。 CSRC法規部の副主任である胡宝海副主任(10年以上務めており、主に市場における紛争解決メカニズムの研究、立法に携わっている。メカニズムのイノベーションも重要視し、中国の国情に合う利便性ある制度造りについても研究、金融ADR研究チームの責任者)を団長とするADR研究チームのメンバーとしては、CSRC法規部行政処の王強氏(行政再審案件を預かっている。金融ADR制度が施行された場合、同部署が執行部門となる)、同行政処罰部の顧頂遠氏(副処長、証券市場における紛争解決に詳しい、特に刑事罰・行政罰に詳しい)、中国証券投資者保護基金有限責任公司の法律部総監督の劉磊氏(リスク対応、投資者権益保護、投資者の紛争をいかに効率よく解決できるかについて研究している。特に、4,5年前より金融ADR制度を研究、欧州と台湾のADRを研究)、中国証券業協会の投資者教育弁公室主任の袁熙氏(投資者教育におけるリスク提示、紛争が生じた場合にどういう対応をするかが重要な仕事、投資者権益の保護、顧客と会員間の紛争、会員間の紛争解決)、最高人民法院の丁広宇氏(ADRの効力に関する研究、金融ADR制度が施行された場合、司法とADRのアプローチについて研究)、中国人民大学法学部の楊東准教授(学者の代表、日本留学経験者)が出席した。また、オブーザバーとしてCSRC先物取引部、国際部の方々も出席した。 このような中国側のメンバー構成を見ただけでも、その熱心さの度合いが容易に推し量られるといえよう。 会の進行は、早稲田大学の犬飼教授とCSRCの胡宝海副主任が双方の司会を務め、上村達男教授の開会の挨拶によりシンポジウムが開始された。 最初に金融庁の出原氏が、パワーポイントの資料(添付資料参照)を用いて、主に金融ADR導入の経緯、具体的実施状況、今後の課題について報告。続いて簗瀬弁護士が補足の説明を行い、その後中国側の劉磊氏、王強氏、袁熙氏等から質問があり、朝の九時から十二時過ぎまで、真摯かつ前向きで極めて友好的な雰囲気の中で、実質的かつ具体的な交流が行われた。 最後に、犬飼教授より、胡副主任に対して、去る2011年2月3日に早稲田大学GCOE主催により早稲田大学で開催された「金融ADRオンブズマンフォーラムイン東京 Financial ADR Ombudsman Forum in TOKYO」における配布資料一式が、今後の中国側による研究用資料として手渡された。 http://www.globalcoe-waseda-law-commerce.org/activity/20110203_shiryo.pdf なお、会議終了後、中国側主催による昼食会の席上で、さらに活発な意見交換がなされて、きわめて充実した金融ADR制度に関する研究交流が終了した。
以上 陳 景善(早稲田大学GCOE特別研究員)
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