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金融ADRオンブズマンフォーラムin東京


(2011年2月3日開催)


はじめに:
 早稲田大学グローバルCOE《企業法制と法創造》総合研究所、同大学比較法学総合研究所、NPO法人日本メディエーションセンターは、2011年2月3日、東京都新宿区の早稲田大学国際会議場において、「金融ADRオンブズマンフォーラムイン東京」を開催しました。

  昨年10月にスタートした金融ADR法を受けて、行政監督機関である金融庁の担当課長、国内の指定紛争解決機関[金融ADR機関]の関係者に加え、関係団体、研究者、そして英国金融オンブズマンの元トップを招き、日本の金融ADRの将来について、貴重な議論が行われました。


開催趣旨のご説明:
 2009年、我国に初めて(いわゆる)金融ADR法が成立・2010年4月1日施行されました。また、同年10月1日には、金融サービス業者には、金融ADR機関への事実上の加入義務(行為規制)が発効し、新制度が本格的に稼働を開始しました。
 関連の法改正等の詳細は、下記の通りです。

2009年6月
2009年12月
2010年4月
2010年9月
2010年10月
改正金融商品取引法等成立
改正金融商品取引法等に係る政令・内閣府令公布
改正金融商品取引法等施行 / 金融ADRガイドライン策定・適用開始
全国銀行協会等の7団体を紛争解決機関に指定
改正金融商品取引法等完全施行(金融機関に対する行為規制発効)

 これを受けて、7つの団体が紛争解決業務を行う指定紛争解決機関として指定され、2010年10月より業務開始。さらに一機関が2011年4月よりの業務開始を目指して準備中であり、8つの団体が金融関連紛争解決に本格的に取り組む見通しとなりました。
  このような時期に、我国に新たに創設された金融ADR制度・機関の取組状況を知ったうえで、今後一層の制度の発展に向けた研究を行い、その背景にあるべき、苦情対応・紛争解決システムの国際規格と金融機関等の業者の行動基準・行動規範等のプリンシプルに関する研究を行うことには大きな意義があると考えたものです。
  このような観点より、今後の我国の金融ADR機関のあり方・改善点等についての前向きの具体的な議論を深めるとともに、その将来のあるべき姿のイメージについてのさらなる議論と、関係者の間で共有すべき理念(プリンシプル)の意義も含めて、金融ADR・オンブズマン制度の先輩格である英国ロンドンの金融オンブズマンの(元)トップを日本に招へいし、我国の金融ADR関係者・関係団体等に協力・参集いただいて早稲田大学GCOE等主催の、「金融ADRオンブズマンフォーラムイン東京」を開催することとした次第です。

招待講演者及びパネル参加者[敬称略]:
小野 尚 金融庁総務企画局企画課長 兼 金融トラブル解決制度推進室長
相澤直樹 全国銀行協会 業務部長
飯島一夫 証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)センター長
瀧下行夫 一般社団法人保険オンブズマン専務理事
田中圭子 NPO法人日本メディエーションセンター代表理事
簗瀬捨治 長島・大野・常松法律事務所弁護士
   ・金融ADRオンブズマン研究会会長 ・早稲田大学上級研究員兼客員教授
ウオルター
  ・メリックス
英国金融オンブズマンサービス(FOS)前代表・チーフオンブズマン
安藤信明 司法書士・司法書士連合会理事


フォーラムの詳細(当日資料はページ下段に掲載)
 金融ADRオンブズマンフォーラムin東京では、早稲田大学法学学術院の犬飼重仁教授の司会進行のもと、各団体がそれぞれの取り組みや課題を挙げるとともに、金融ADRの背景にあるべき行動基準・行動規範等のプリンシプルの重要性、そして先輩格ともいうべき英国金融オンブズマン制度についても英国の金融ADR団体の元のトップの方による解説と現在の英国の課題等が説明され、今後の日本の制度の在り方について、熱心に議論が繰り広げられました。
 開会のあいさつは、早稲田大学のGCOE所長である、上村達男教授が行いました。上村教授は、「今回の金融ADR法のように、民間のアイデアが一つの提言としていろいろな関係者を巻き込む形で示され、そしてそれを、金融庁とか行政当局、あるいは関係する様々な団体等が真っ正面から受けとめて、法やルールができ上がっていくということは、私は、素晴らしいことだと思う。そういう役割の一端を我々のCOEの研究所が担えたとすれば、大変光栄なことだと思っている」と述べました。
 はじめに、金融庁総務企画局企画課長兼金融トラブル解決制度推進室長の小野尚氏に「金融ADR制度に関する金融庁の取り組みと今後の展望」と題して、基調講演をいただきました。金融ADR制度として業界別に中立・公正な機関を設立することになった流れを説明された上で、特に、「ハードとソフトの面における横断性」という言葉を用いられ、各業界の取り組みを尊重しながら、業界相互の連携を進めつつ、ゆくゆくは業態横断の制度を目指す、日本独自の制度進化の方向性を強調されました。
 続いて、各金融ADR機関の責任者の方々より、「我が国紛争解決機関の取組状況等」と題して発表をしていただきました。
 全国銀行協会の相澤直樹業務部長は、既存の「銀行とりひき相談所」と指定ADR機関として活動する全銀協の「あっせん委員会」の業務について説明され、あっせん申立件数がこの3年間で激増しているとして、それへの対応のため、迅速性と納得性を両立させるのは難しいが、銀行等に対する、類似事案の再発防止のための各種の取り組みや、消費者に対する啓発、特に、リスクがある商品であることを十分に顧客に啓発していくことが必要との認識が示されました。
 すでに相当の相談実績を有するが、金融庁の指定を受け次第、本年4月頃から金融ADR法上の指定紛争解決機関としての業務開始を予定されている証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)の飯島一夫センター長は、5団体約1400社からの委託を受けて活動する同センターの紛争処理の仕組みや相談などの実績を説明され、周知及び各種の情報提供をさらに積極的に図っていきたいと強調されました。また、他のADR機関とも積極的に連携をとっていくとの方針が示されました。
 外国損保協会、日本保険仲立人協会との協同で設立された保険オンブズマンの瀧下行夫専務理事は、ADR機関は業界団体そのものでなく業態を横断するものであるべきとの考え方を踏まえて、今回日本で初めてオンブズマンという名前の付いた金融ADR専門機関を設立した経緯と、実務上、法制上の課題について解説されました。その中で、苦情処理手続きは紛争解決手続きと違って時効が中断しないため、保険会社側が裁判回避の目的で援用する可能性に憂慮を示されました。
 この後、「金融ADRの課題と展望」と題して、識者3人が講演されました。
 日本メディエーションセンターの田中圭子代表理事は、英国の金融ADRが業界別から業態横断的な統一機関のFOSに切り替えられるまでの流れと10年間のFOSでの実績の変遷を紹介。相談件数、オンブズマンの裁定率はいずれも上昇しているとの報告が行われました。また日本の金融ADRの課題として、業界ごとにADR機関が存在するため消費者がどこに相談すべきか迷う危険性や、苦情処理を担当する業界出身者と紛争解決を手掛ける外部専門委員の間での連携不足、苦情対応が接客的なものに止まる可能性を指摘され、紛争解決だけでなく苦情対応の品質が重要との考えを示されました。

 弁護士で金融ADRオンブズマン研究会会長を務め、早稲田大学上級研究員兼客員教授でもある簗瀬捨治氏は、金融ADRにおける判断基準とその重要性について解説されました。判断基準の一貫性が金融ADRの軸になるだろうとの考えを示し、金融インフラとしてADRを位置付けて整備することが行政上最も重要とされました。
  また、金融ADRの法律上の位置付けを解説し、法に縛られずに良識に即した判断を行う必要があると強調されました。

 一方、英国金融オンブズマンサービス(FOS)の前代表を務めたウォルター・メリック氏は、30年ほど前からあった業種別オンブズマンを統一する形で2000年に成立したFOSについて解説。「FOSの役割は夫々のケースに応じて適切で論理的な結論を下すこと」とし、企業による苦情処理では解決しなかった案件のみをFOSで引き継ぐ仕組みや、直近半年間で30件以上の訴えがあった企業をFOSのウェブサイトに掲載することで消費者の判断に寄与している試みを説明。「英国でも金融商品の大規模な不適切販売が繰り返し起きており、銀行側がFOSの判断を不服として訴えたケースもあるが、今後も消費者の一層の信頼を勝ち得る必要がある」と強調しました。
 最後に、各講演者と司法書士の安藤信明氏がパネルディスカッションと質疑応答を行い、英国FOSや日本の金融ADRの現状や今後の課題について、非常に活発な議論が行われました。


  2011年2月3日 フォーラム配布資料  
  犬飼教授インタビュー記事(2011年3月4日保険毎日新聞) [転載許諾確認済]
  フォーラムの紹介記事(2011年3月4日保険毎日新聞) [転載許諾確認済]
  犬飼教授の論文(月刊資本市場2011年3月号) [転載許諾確認済]




犬飼重仁(早稲田大学法学学術院教授・GCOE)




 

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