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<緊急シンポジウム>
アメリカ型金融危機の総点検―日本からのメッセージ


(2009年1月31日開催)


 昨年来、アメリカに端を発し世界へ波及した金融危機の状況について、各分野からの専門家をお招きし、多角的な視点から鋭く分析、日本から世界へ向けてのメッセージを提起するシンポジウムを開催しました。
 まず、金融最前線から、菅野雅明氏(JPモルガン証券チーフエコノミスト)が、「『100年に1度の危機』の展望と政策対応」と題する講演を行いました。講演では、世界、アメリカ、ヨーロッパ、中国、日本で何が起きているのかについて、さまざまな経済指標、データを駆使し説明し、100年に一度の危機がどのように起こったのかを概観し、出口戦略が大きな政府へむかっていることに警鐘を鳴らし、小さな政府のもとで、もう一度規制の在り方を考え直すべきであるとしました。

 次に、格付け機関から、原田靖博氏(株式会社格付投資情報センター(R&I)会長)が、「格付会社総点検―米国と日本」と題し、講演を行いました。米国についてはSECの米系格付会社3社に関する調査報告が、日本については、公的規制をいれるべきという金融庁の報告書が紹介されました。また米国SECの監督導入と強化の動きなどについても言及がありました。格付会社は「financial gate keeperとして、(中略)資本市場の発展に貢献する」もので、「利益優先であってはならず(中略)信頼を重視するとの考え方に基づき経営されるべき」であり、公正・妥当な格付けを確保するためには十分に競争的でなければならないとの考え方が示されました。

  次に、国際弁護士としての立場から、簗瀬捨治氏(長島大野常松法律事務所)が「アメリカ発金融危機をもたらした法的基盤」と題し、講演を行いました。初めに、アメリカ社会と法の特徴に言及した後、金融危機を再起させないために、として、新たな金融規制による「自由」の制約や、行動規範としてのプリンシプルの確立、新たな金融規制を設けるための国際的な協調、連携などが提言されました。

 次に、アメリカを知り尽くした経営者からとして、原丈人氏(デフタ・パートナーズグループ会長−)が「公益資本主義と新基幹産業再生」と題する講演を行いました。基幹産業、コア技術の変遷を振り返って、米国で長期間新しい技術を作るという考え方が次第になくなり、短期的なリターンを求め、次の基幹産業を金融業だとしたところに勘違いがあった、結果として破たんがおこったと解説されました。「会社は株主のものだ」という間違った考えを正し、短期志向な考え方を見直すべきである、そして、利益の4割を初めから教育や医療に使うというバングラデシュのBRAC(Bangladesh Rural Advancement Committee)というNGOを例にとり、利益を上げてからCSRなど社会に役に立つことをやるというのではなく、社会に役に立つことをやって利益を出す、このような長中期的な公益資本主義の立場にたった会社群を作り、新基幹産業としていくべきでないか、としました。

 次に、金融当局から、大森泰人氏(金融庁)が「市場型金融システムの再構築」と題する講演を行いました。日本の金融システムの歴史を振り返った後、破たんの原因が、証券化であるという説と、銀証融合であるという説の解説を行いました。なぜ返済できない人に貸してしまったかという問題点については、やはり法制度として、収入から返済できる範囲でしか貸せないようにする来年施行の日本の貸金業法が有効な制度選択肢ではないかと言及がありました。そして、企業買収に関する法制度の根底にあるコーポレート・ガバナンスの強化を推進して、市場型金融システム再構築していくしかないというお話がありました。

  最後に、上村達男 GCOE拠点リーダー・早稲田大学法学部長が、比較法の観点から「法的問題としての金融危機」と題し講演を行いました。最初に、GCOEが問題意識として言っている「成熟市民社会型企業、金融・資本市場法制」というのは、基本的人権や、自由、文化を、維持しながら、それを発展させていく、あるいは、個人が尊重される、富が公正に配分される、といったさまざまな価値があり、それを捨て去った成功は尊敬しない、という理念的に構想している社会像、それを守り抜く金融資本市場を目指している、ということの説明がありました。そして、欧州の原則禁止制度を守る方式に対し、「アメリカ的な行き方」というものは、極めて原則が自由で、魅力は最大だけれども危険も最大なシステムであり、アメリカ自身はそうしたアメリカ法制の特殊性を認識していない、と指摘がありました。 また、企業価値というものは規範概念でなければならない、企業ミッションの最大実現に貢献するのが資本であり、その選別の資格は主権国である国、国益論ということになる、としました。資本市場法制の純粋型理論モデルと同時に資本市場活用型株式会社制度モデルを構築し、また、市民社会論と一体の理論を考えていくべきであると結びました。そして、ヨーロッパの、ジェントルマンズルール、プリンシプル、ベストプラクティスといった、法という形をとらないルーを理解し、日本の制度論に生かさなければならない、という提言がありました。シンポジウムは、早稲田大学国際会議場井深ホールで行われ、多くの聴衆が参加しました。



【司会】
上村達男(GCOE拠点リーダー・早稲田大学法学部長)
犬飼重仁(GCOE専任教授・早稲田大学法学学術院教授)



 

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