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2009年6月17日

早稲田グローバルCOE《企業法制と法創造》総合研究所
発表
2008年11月の「金融ADR・オンブズマン研究会」提言英訳版完成について




説明:
(1)金融ADR法の成立
 2008年12月、金融庁・金融審議会が金融ADR機関の法定化方針を公表。その後、2009年3月6日には「金融商品取引法等の一部を改正する法律(案)」(いわゆる金融ADR法)が国会に提出され、4月24日に衆議院、6月17日に参議院を通過し、法案が成立した。これは、金融・保険業等の金融関連の各種のいわゆる業法を改正するもので、ADR機関に関する新たな条項を新設し、その中で、金商法、銀行法、保険業法、信託業法、貸金業法などにおいて、指定紛争解決制度(ADR制度)の創設が定められている。

  http://www.fsa.go.jp/common/diet/171/index.html

  これは金融トラブルの解決に向けて極めて大きな動きといえる。それは「金融ADR機関の決定への金融業者の拘束の義務付け及び金融ADR機関の法定化」である。我が国の金融資本市場の信頼回復に向けて、金融機関等の金融サービス業者に、極めて大きな(しかしこの立法措置は世界的な潮流とも整合的であり、従って前向きの)インパクトを与えるものと考えられる。
 なお、企画責任者である犬飼重仁教授は、衆議院財務金融委員会の要請により、4月16日の同委員会において、この新しい法案の意義、及び2005年に早稲田大学COE等が行った提言と、第3者的任意団体として金融ADR・オンブズマン研究会が2008年11月に発表した提言の内容等を、参考人として意見陳述した。
 すなわち、この動きは、2005年春に、総合研究開発機構(NIRA)と早稲田大学21世紀COE《企業法制と法創造》総合研究所が共同で策定し発表した研究報告書「NIRA Market Governance Report 2005」の中で行った研究提言の、実現に向けた重要なステップであり、かつ、今般の法定化の具体的進展は、2008年1月と3月に金融庁幹部にも出席頂いて実施した早稲田大学COE・NIRA主催の連続講演会「日本版金融オンブズマンへの構想」・「金融サービス市場法制のグランドデザイン」や、2008年11月末の「金融ADR・オンブズマン研究会」提言発表等を含めて、断続的に実施した、早稲田大学COEと金融ADR・オンブズマン研究会等の関係者による息の長い研究推進と、当局への継続的な働きかけの反映でもあると考えられる。

(2)2007年春の「金融ADR・オンブズマン研究会」の発足
 2007年以降金融ADR制度研究の推進母体となった、犬飼重仁 早稲田大学法学学術院教授が幹事を、上村達男早稲田大学法学学術院長がアドバイザーを務める「金融ADR・オンブズマン研究会」の2007年春の発足は、前述の2005年春の早稲田COEとNIRAの研究提言を、その原点としている。

(3)2008年11月末発表の「金融ADR・オンブズマン研究会」提言
 2008年11月28日に発表された、「金融ADR・オンブズマン研究会」による提言―「金融専門ADR機関」のあるべきモデルと実現手段――良識に即した柔軟な紛争解決を目指す、実効性と信頼性ある金融専門ADR制度の構築に向けて―は、2008年12月3日の金融審議会と12月24日の金融トラブル連絡調整協議会の場で、金融庁担当官より概要が紹介・説明された。本提言は、早稲田大学GCOEより犬飼重仁教授が幹事として参画し、一年半以上の時間をかけて取りまとめられたものであり、金融庁・金融審議会による今回の関連法制度構築に、前向きの影響を与えたと考えられる。
 日本語版の提言は、以下のURLを参照いただきたい。


(4)「金融ADR・オンブズマン研究会」提言の英訳版の完成
 金融ADR・オンブズマン研究会の快諾と協力を得て、早稲田大学GCOEとして、2008年11月の金融オンブズマン機構提言の発表と同時にその英訳プロジェクトを立ち上げ、2009年3月には、「金融ADR・オンブズマン研究会」提言本編の英訳版がほぼ完成し、2009年4月末には、資料編についても英語版がほぼ完成した。編集作業を経て、2009年6月に英訳版が完成した。
 この成果を、6月24日から26日までアイルランドのダブリンで開催されるINFO2009(金融オンブズマン世界大会年次総会)の席上でも発表するなど、世界的に発信する予定である。
 なお、この金融オンブズマン機構提言の英訳プロジェクトは、今後、我が国における金融ADR・オンブズマン制度研究の進展状況を世界に発信し、世界各国の関係者との議論のさらなる深化を図ることを目的として、早稲田大学GCOEとして実施したものである。


(5)今後の研究の方向性
 早稲田グローバルCOEでは、この提言の英訳版を早稲田GCOEのHPに掲載するとともに、それを有効に活用しつつ、今後、金融ADR・オンブズマン研究会のメンバーおよびADR関係者など、日本と世界各国の専門家・関係者と交流・協調しつつ、相互補完的に研究を推進していく。


《本件問い合わせ先》
犬飼重仁
早稲田大学 法学学術院 教授
早稲田大学グローバルCOE《企業法制と法創造》総合研究所
http://www.globalcoe-waseda-law-commerce.org/
〒169-8050 新宿区西早稲田1-6-1 研究室: 9号館6階624
Shigehito Inukai
Professor, Faculty of Law, Waseda University
Global Center of Excellence - Waseda Institute for Corporation Law and Society
1-6-1, Nishiwaseda, Shinjuku-ku, Tokyo
Tel&Fax(Direct): 03-3202-2472 内線: 71-3274
Mobile : 080-3360-7551
e-Mail : shige.inukai@river.dti.ne.jp, inukaigf@mercury.dti.ne.jp
 

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