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台湾最高法院及び智慧財産法院を訪問、国際シンポジウム講演
−高林龍教授による台湾講演−
(2009年9月22,23日開催)
9月22日に台湾特許庁、台湾大学共催「特許訴訟新制国際シンポジウム」が開催され,招聘講師として高林龍教授が
「日本における審判および審決取消訴訟と侵害訴訟の審理判断をめぐる諸問題」、清水節裁判官が「特許権侵害訴訟の概要−無効の抗弁を中心として」と題して講演を行った。
また、23日台湾最高法院、大法院の大会議室で開催された「裁量上告制度や最高裁判例の拘束性について」において
高林龍教授が講演を行った。この模様は台湾の新聞に大変好評であったと掲載されている。
※
9月22日のシンポジウムについては…
『RCLIPニュースレター第22号』の記事を参照。
9月23日は当初は最高法院及び智慧財産法院を訪問するだけの予定が,最高法院では是非にとの要望により、
最高裁判事やその他の判事総勢100名が参加する大法院の大会議室で楊院長(最高裁長官)司会の下で,
高林龍教授が裁量上告制度や最高裁判例の拘束性について90分近く講演と質疑応答を行った。
掲載された台湾のニュース等>>> SINAネット:ニュース 智慧財産法院:HP記事(写真)
主 催: |
台湾知的財産局 |
共 催: |
台湾大学 |
日 時: |
2009年9月22日(火) 午前9時〜午後6時 |
場 所: |
台湾台北市集思台大会議センター 国際会議館
(台北市羅斯福路4段85号B1) |
講 師: |
高林龍 教授
(早稲田大学知的財産法制研究センター長、大学院法務研究科教授)
清水節 裁判官
(日本東京地方裁判所知財部総括判事) |
台湾講演の状況報告 |
2009.10.12
葉 庭 、
去る2009年9月22日(火)、台北において「2009年度特許訴訟新制国際検討会」が開催され、今回は特別に台湾知的財産局が日本からお招きした高林龍先生と清水節先生にご講演いただいた。高林龍先生は裁判官として、日本における民事事件、知的財産件関係訴訟を17年間にわたり担当してこられ、現在は早稲田大学知的財産法制研究センター長兼大学院法学研究科教授でいらっしゃる。また、清水節先生は、現在、東京地方裁判所知財部で総括判事を務めておられる。
台湾では、2008年7月1日に初めての「智慧財産法院」(以下、「知的財産裁判所」)が台北に設立され、知的財産権に関する民事刑事訴訟事件及び行政訴訟事件の専門処理にあたって一年あまりが経過した。各界は知的財産に関する新たな訴訟制度についての認識を一層深めるとともに、効率的に問題を解決している知的財産裁判所を支持する意見が多数を占めているものの、その一方で、実務の変更による特許事件審査に対する影響の問題への不安も高まりつつある。したがって、台湾の知財界は、今回、日本からの二人の専門家に上記問題についてご講演いただけることを大変光栄に存じ、お二方のご訪台を大いに期待する様子が伺えた。
当日の講演会は、朝9時から午後6時まで行われ、主に特許権の有効性に関する審査及び無効審判に関する内容で進められた。高林先生及び清水先生には、午前中にそれぞれ約90分間のご講演をいただいた。
まず、高林先生が「日本における審判及び審決取消訴訟と侵害訴訟の審理判断をめぐる諸問題」と題して講演され、特に「権利無効主張に対する特許侵害訴訟と審決取消訴訟の役割分担」及び「審決取消訴訟における新理由・新証拠提出の可否」については実例とQ&A形式によるご解説をいただき、大変分かりやすかったとの評判が伺えた。
続いて、清水先生から「特許権侵害訴訟の概要−無効の抗弁を中心として」と題してご講演いただき、主に「裁判所と訴訟手続」、「東京地裁における知財事件の現状」、「最近の特許権侵害訴訟における特色」について、図表・実例を交えた興味深いご説明をいただいた。
午後は「円卓会議」を中心に進められ、知的財産局の局長王美花氏が司会者を務めました。講演会の参加者からは、高林先生、清水先生をはじめとして、韓国の Chaho JUNG 教授及びシンガポールのDr. Stanley Lai などの専門家が会し、約2時間半にわたり熱心な討論が行われた。なお、講演内容や議論を通じて、日台における特許権侵害訴訟制度の相異点についての理解が深まった。将来、これは必ずや台湾特許法改正の際の参考として役立つものとなるであろう。
今回の講演会には、アジア弁理士協会(APAA)会員のほか、台湾の特許事務所代表、法学者、一般の方など、約300数名の方々が参加した。また、参加者から数々の質問が飛び出すなど、関心の高さが伺え、熱心な聴講姿勢も印象に残るものであった。また、ある特許事務所の代表は、「これまで、無効審判についての疑問がずっと頭から離れなかったが、日本の専門家の講演を拝聴してついに答えを得ることができた!」という感想も寄せられ、大変に有意義な講演会であるとの好評を得た。「円卓会議」の後は、知的財産局にて、高林先生や清水先生を囲むパーティーが開かれ、今回の国際検討会は盛会のうちに幕を閉じた。
高林先生及び清水先生はともに、以前にも台湾で講演されたことがある。高林先生は今年3月に台湾知的財産裁判所の招聘で講演され、清水先生は台湾知的財産裁判所発足の2年前に講演された。お二人の先生に貴重なお時間、そして有意義なご意見をいただけたことを、心より感謝していると、台湾知財界は述べていた。なお、台湾のメディアにも今回のご講演が報道され、すばらしい講演会であったという非常に好意的な評価を得た。
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(取材レポート:茶畠寿美)
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