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日・中・韓3ヶ国の資本市場法規制フォ−ラム
- アジア域内資本市場法規制・監督と自主規制の方向性に関する日・中・韓フォーラム -
(2009年7月10日開催)
2009年7月10日、ソウルにおいて、アジア域内資本市場法規制・監督と自主規制の方向性に関する日・中・韓フォーラムが行われました。
主 催: |
早稲田大学GCOE・韓国金融研究院 (KIF) |
共 催: |
東京証券取引所(TSE)・アジア資本市場協議会(CMAA) |
後 援: |
延世大学 |
議 長: |
韓国金融研究院(KIF)Kim, TaeJoon院長
早稲田大学上村達男教授 |
企画責任者: |
早稲田大学犬飼重仁教授 |
場 所: |
韓国銀行会館2F 国際会議室 |
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(日中韓同時通訳付) |
本フォーラムは、中国証券監督管理委員会(CSRC)、韓国金融監督委員会・金融監督院(FSC/FSS)、日本金融庁と、本グローバルCOE研究所による、アジア共通の資本市場の信頼とIntegrity確保のための、真の意味で金融資本市場規制及び自主規制ルールについて基本認識とそれらの在り方の方向性を議論する、初めてのアジア域内の三か国シンポジウムとなりました。
参加者の間で共有できた項目としては、(1)世界の資本市場規制に対する確固たる評価軸を持つ、(2)アメリカ的あり方と欧州的あり方に対する比較法的な視点を持つ、(3)日本の金商法の目的規定(「資本市場の機能の十全な発揮による金融商品等の公正な価格形成を図り、もって国民経済の健全な発展及び投資者の保護に資する」)の意義を共有する、(4)こうした観点から各国とも関連の各制度の趣旨の洗い直しをして独自の視点を明確にする、(5)そうした観点に立って、当面は緩やかなアジア共通の資本市場への意識を相互に着実に醸成していく、ということが挙げられます。(下記コラム参照)
今回参加された日中間3カ国の規制機関の方々よりも、非常に有益であったこと、視野が広がったこと、またこのような有益な企画が継続されることを望むとの意見表明がありました。
今後の三か国のこの分野での協力関係の構築に向けた大きな一歩となり、大きな意義を持つ会合となりました。
コ ラ ム |
このたびの規制監督者を中心とするフォーラムにおいて、次の点が、参加者の間で共有できたと考えている。
(上村達男議長)
- このたびの規制監督者を中心とするフォーラムで培った相互の信頼と友情の精神に基づいて、今後とも、三カ国の金融・資本市場規制と監督に関する民間ベースの研究交流を促進していく。
- 金融・資本市場規制のあり方は、全アジア、ひいては全世界の諸国民の生活と安全に大きな影響を与えるものであることに鑑み、また金融・資本市場のあり方は、各国の国益確保と密接な関係にあることに鑑み、欧米のルールのあり方に対して、三カ国として、あるいはアジアとして、明確な評価軸を有することが必要である。そして、その際には、欧州諸国、アメリカの、この分野の法制、自主規制、社会の規範意識の深層に対する学問的な理解、すなわち本格的な比較法研究を踏まえた理論的、学問的考察おそが重要である。
- 金融・資本市場規制の目的は、資本市場の機能の確保、具体的には公正な価格形成の確保にあり、国民経済の健全な発展と国民福祉に直結する問題である。我々はそうした目的観に適う諸制度の位置づけを明確にすることで、安易なバブルを生まない強靱な金融・資本市場を構築していくことが必要であると強く認識する。かかる観点から、欧米が推進する規制の改革の行方に対しても常に一定の発言を行うべきである。
- 我々が共有する問題意識が、金融・資本市場を支える民事法、刑事法、経済法、国際取引法、知的財産法等の様々な法分野にも及び、日中韓の三カ国においてルールに関する共通理解が醸成されるならば、将来的にアジア資本市場構想のような大きな構想にも結びつきうる問題となることも、視野に入れる可能性があることを認識する。
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参加者一覧:
韓国
韓国金融監督委員会(FSC) 常勤委員Dr. Yi, Jong Gu氏
韓国金融監督院(FSS)金融投資局次長健全性監督チームMin, Byung Hyun氏
韓国金融投資協会(KOFIA)Lee, HanGu専門委員
韓国金融研究院(KIF)Kim, TaeJoon院長
韓国金融研究院(KIF)Pak, JaeHa副院長
韓国銀行金融経済研究院 課長・エコノミストHyun, Suk氏 (Waseda GCOE Fellow / ADBコンサルタント / CMAA)
延世大学Park, Taekyu教授
延世大学Kim, JungSik教授
延世大学GSIS Hahm, JoonHo教授(ADBコンサルタント)
中国
証券監督管理委員会(CSRC)法律部副主任 孫 署偉(Sun, Shuwei)氏
証券監督管理委員会法律部法規処処長 呉 国舫(Wu, Guofang)氏
上海復旦大学 許 凌燕(Xu, Linyan)教授
日本
金融庁総務企画局企業開示課長 三井 秀範氏
東京証券取引所 執行役員 静 正樹氏
東京証券取引所 上場推進室 岩瀬 浩氏
早稲田大学GCOE 上村 達男教授(GCOE所長・法学学術院長)
早稲田大学GCOE 犬飼 重仁教授(企画責任者)(CMAA)
早稲田大学大学院法学研究科後期課程在籍2名(金 せい氏, 韓 敬新氏)
スープラナショナル
アジア開発銀行(ADB)地域経済統合室(OREI)山寺 智氏
プログラム(リンクをクリックすると資料が閲覧できます) |
13:05 |
開会
司会:早稲田大学法学学術院・GCOE
犬飼重仁教授 |
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(基調講演) |
13:06 |
開会挨拶
韓国金融研究院(KIF)
Kim, TaeJoon院長 |
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13:14 |
開会挨拶&基調報告「基本認識とフォーラムの方向性」
早稲田大学上村 達男教授
(Slide_1) |
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13:36 |
基調報告
韓国金融委員会(FSC)常勤委員
Yi, Jong Gu氏 |
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(第1部)韓・中・日の各国金融資本市場規制の現状について |
13:48 |
金融監督院(FSS)金融投資局次長健全性監督チーム
Min,Byung Hyun氏 |
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14:29 |
証券監督管理委員会(CSRC)法律部副主任
孫 署偉(Sun, Shuwei)氏 |
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14:51 |
金融庁 総務企画局 企業開示課長
三井 秀範氏
(Appendix_1 Appendix_2 Appendix_3 Appendix_4-1 Appendix_4-2) |
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(第2部)自主規制団体等の活動の現状等
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15:24
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東京証券取引所 執行役員
静 正樹氏
(Slide_1) |
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15:54
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韓国金融投資協会(KOFIA)Research Specialist/Fixed income System Team
Lee, HanGu氏 |
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16:22 |
中国復旦大学
許 凌艶(Xu Linyan)教授 |
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(休憩)16:47 ?17:05 Coffee Break |
(第3部)アジア域内資本市場共通の自主規制ルール構築の可能性
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17:05
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早稲田大学GCOE/アジア資本市場協議会CMAA代表
犬飼 重仁教授 |
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17:30
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韓国銀行・金融経済研究院/ADB/早稲田大学GCOE/CMAA
Hyun Suk氏 |
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17:50 |
アジア開発銀行(ADB)地域経済統合室(OREI)
山寺 智氏 |
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(第4部)自由討議及びアドバイザー・スピーカーのコメント 自由討議及びコメント(発言順): |
18:05 |
延世大学
Kim, JungSik教授 |
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延世大学GSIS
Hahm, JoonHo教授 |
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金融庁 総務企画局 企業開示課長
三井 秀範氏 |
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金融監督院(FSS)金融投資局次長健全性監督チーム
Byung HyunMin氏 |
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証券監督管理委員会(CSRC)法律部 処長
呉 国舫(Wu, Guofang)氏 |
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金融研究院
Pak, JaeHa副院長 |
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早稲田GCOE所長
上村 達男教授 |
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一般参加者よりのコメント |
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(閉会の言葉) |
19:05 |
延世大学
Park, Taekyu教授 |
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19:10 |
閉会挨拶
早稲田大学 犬飼 重仁教授 |
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韓国メディアによる報道の翻訳 |
「アジアの貯蓄資本を活用、統合資本市場を作ろう」
犬飼重仁教授、「日中韓の専門家による資本市場」を提案
[e-daily, イ・テホ記者] 世界経済の不均衡を解消し、アジアの莫大な貯蓄資本を活用するために、専門家たちによって構成される統合資本市場(integrated Asian wholesale professional capital market)を作ろう、という提案がなされた。
犬飼重仁早稲田大学教授は、10日、「日中韓3カ国資本市場フォーラム」で、「アジアの専門家たちによって構成される資本市場を作れば、世界経済の不均衡を解消するに当たって、重要な役割を果たすことができる」と指摘した。
犬飼教授は、「アジアは非常に高い貯蓄を誇るが、相当の金額が欧米に投資されている」として、「このような不均衡は、一角において、グローバル金融危機を引き起こした要因として指摘されている」と述べた。
さらに、「もし、アジアに蓄積されている莫大なカネをアジア域内で解消できるように、統合資本市場を作れば、世界経済の不均衡を解消すると同時に、域内の金融機関にも機会を提供することになる」と説明した。
犬飼教授は、「ただし、各国の市場規制をすべて同じようにすることはできない」として、「どこまで統合するかが問題であるが、専門家たちによって構成される市場を作って、これに共通のインフラを備えることが現実的な代案になり得る」と説明した。
彼は、「ここで重要なことは、自主規制(self-governing)のためのガイドラインを策定することであり、現在、アジア資本市場協議会(CMAA)のような組織を通じて、国境を超える規制作りのために、様々な努力を傾けている」と付言した。
これと関連して、韓国銀行の金融経済研究院の玄?(ヒョン・ソク)博士は、「十分な経験と判断能力のある投資家等のような、プロのみが参加する統合資本市場の構想は現実的である」と評価しながら、「規制監督機関が集まって地域市場の枠組みをデザインしたり、また市場参加者たちが自主規制を作ったりすることは良い方法になりうる」と述べた。
キム・ジョンシク延世大学校商経大学副学長は、「域内の貯蓄が域内で投資されるためのインフラ作りも重要であるが、(投資)需要を拡大することも非常に重要である」とし、「域内のインフラ作りに先立ち、金融市場の安定化のため、学者等による研究とともに金融監督当局による体制整備が伴われるべきである」と付言した。
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(報告者:犬飼重仁・伊原美喜)
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